第二話　『 戦慄！ 桶狭間の遭遇 』“時は群雄割拠の戦国時代。天下を狙う兵たちが、全国各地で　鬨を上げげた。或る者は野心に駆られ、或る者は気高き理想に燃え、或る者は正義と誇りを護る為、また 或る者はいまだ 何人も 至ったことのない、遥かなる高みを ただ　目指して”朗々たるナレーションが流れる中、主要キャストの短い、けれど、印象的なショットが続きます。そして、オープニング、一回目のあらすじの後、本編開始。越後の上杉・朴・謙信が、前回の川中島で、武田軍との戦闘に至らなかった理由を、九の一・春日に説明しています。叙情的な調べに乗せて、謙信と信玄のすれ違う場面に両雄の想いをにじませて、美しさと切なささえ感じさせます。思わず、“謙信様…”と呟く、春日…。と、いつのまにか、すぐ側まで、近寄って囁くように“わたくしの うつくしき つるぎに びしゃもんてんの かごの あらんことを”と、彼女の手をとり、伝える謙信に、春日は “はぁあぁあぁ〜”とあえかなる声をあげて、バラの花と舞う花びらをバックに、恍惚状態…。この 春日の恍惚シーンが、今後、BASARAの名物？のひとつになります。場面転換して、今川義元が織田との戦のために赴くシーン。輿に乗った今川が、家臣に声をかけられて、“われらが戦に勝ったか、では、上洛するのじゃあ〜”と、のたまうところは、短いやりとりの中に、笑いと、キャラのいい味を出していて、脚本 上手いなあ、と 思わざるを得ません。そこへ、伊達軍の疾風怒濤のような襲来！“ Year Haaー！”の掛け声とともに、マフラー様の馬具のついた愛馬に 両手放しで乗って、楽しそうに やって来る政宗様は、凶悪的に 可愛いです敵を蹴散らし、吹き飛ばし “ Hear we go！”と叫ぶ政宗様の後ろで、細かな指示を味方に送る 軍師・片倉小十郎。まさに、息 ピッタリッというかんじです。追い詰めた 今川に、“今川のおっさんだろ、俺は奥州筆頭 伊達政宗。悪いが取らせてもらうぜ”と告げる政宗様。と、“待たれよーっ！”と、割って入ってくる真田幸村に“来たか”と呟く政宗様。二人の戦への心意気が、それぞれ熱をこめて　語られます。“小十郎、わかってるな！”“はっ、一切、手出しはいたしませぬ”伊達主従のやり取りも、いたって簡潔。よけいな説明不要、といったかんじです。緊張みなぎる旋律。“独眼竜、伊達政宗。いざ、勝負！”“癖になるなよ”二人の戦いが始まります。その頃、武田信玄は、小田原城攻略中。でも、信玄様、馬二頭に立ち乗りして、城壁を垂直に走り上る、なんて芸当、絶対！他の誰にもマネできません！北條氏政と武田信玄の対決。兵を使い捨て扱いする氏政に“人こそが城”と諭す信玄様の眼前に突然、迫る刃。それは、氏政に雇われた＜伝説の忍・風間小太郎＞の攻撃、も、信玄に敗れる風間。先祖の亡霊を呼び寄せ、反撃に出る氏政は あっけなく敗退。別場面では、春日と武田の忍・猿飛佐助の掛け合い。この二人には、以前からの因縁がありそう…。“そいつ（風間）に上杉 紹介して、俺様と一緒に 武田に仕えない? けっこう 楽しいぜ〜”と、かる〜く、春日を勧誘する佐助に真剣に怒る春日。場面 戻り、替え玉を使って、三方向に逃げる今川と、それを追う、面々。すると、突然、爆炎があがり、横たわる今川に大して、獣を突きつける女の大腿部には蝶のtatoo。“偽者には、用はないわ”…ー響き渡る銃声…“本物にも無いけれど”信長の妻、濃の艶のある冷たい声が幸村に届きます。そして、“火傷には、気をつけてね、坊や”と、一言を残し、去っていきます。一方、政宗様の追う輿の上に乗っている、白く長い髪をふりみだした男が、歌うように告げます。“ふふふふふ…、これが本物だったようですね。頂いていきますよ”“なめたマネしやがって！”怒る 政宗様の前には、視界をさえぎる白い煙が残るのみ。驚いた馬が棒立ちになり、政宗様は、振り落とされます。頭上には、暗雲立ち込めた空からふりそそぐ雨。感じた気配に、政宗様が切り立った崖の上を見上げると、そこには、甲冑とひるがえる深紅のマントを身に着けた人影。追いついた小十郎は政宗様に呼びかけますが、彼は凍りついたように身じろぎもせず、ただ、頭上の一点を凝視しています。轟きわたる音楽。頭上の人影に対し、名乗りを上げる幸村。それに対して、政宗様は低い声で告げます。“静かにしな、真田幸村”……“この俺を、射すくめやがった”全てのものを凍りつかせるような視線を向けてくる瞳。思わず、息を呑む幸村。息詰まる緊張感の中、小十郎、佐助、春日たちの視線も釘付けにしたまま、家来たちを周りに従えたその人物が、宙に掲げられた今川のこめかみに当てた銃から発した音が周囲に無常に響きます。捨てられたように落ちてくる今川の骸……。